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遺伝:大腸がんに頻発するR-スポンジン融合

Nature 488, 7413 doi: 10.1038/nature11282

がんゲノムの変化を同定および理解することは、標的治療の開発に不可欠である。本論文では、次世代塩基配列解読法を用いて、70対以上のヒト原発性大腸腫瘍を系統的に解析し、そのエキソーム、トランスクリプトームおよびコピー数変化の特徴付けを行った。我々は、タンパク質を変化させる36,303の体細胞変化を同定したが、その中にはWnt経路の遺伝子であるTCF7L2、クロマチンリモデリング遺伝子であるTET2TET3など、およびERBB3を含む受容体型チロシンキナーゼにおける、新しい頻発性変異もいくつか含まれている。有意な変異が見られたがん遺伝子の解析から、細胞周期チェックポイントキナーゼの遺伝子ATMを含む、23個の候補遺伝子が同定された。コピー数とRNA-seqのデータの解析から、一部の大腸腫瘍において、IGF2の増幅と、それに対応した過剰発現が明らかになった。さらに我々は、RNA-seqデータを用いて、多数の融合転写産物を明らかにした。これには、R-スポンジンファミリーに属するRSPO2およびRSPO3が関与する頻発性の遺伝子融合(合わせると大腸腫瘍の10%に見られる)が含まれる。このようなRSPO融合とAPCの変異には相互排他的な関係が見られることから、RSPO融合は、おそらくWntシグナル伝達の活性化と腫瘍形成に関与していることが示される。これと一致して、RSPO融合タンパク質はWntシグナル伝達を増強できることがわかった。今回明らかになったR-スポンジン遺伝子の融合とほかのいくつかの遺伝子変異は、大腸がんの治療的介入の新しい可能性を提供する。

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