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遺伝:バナナ(Musa acuminata)のゲノムと単子葉植物の進化

Nature 488, 7410 doi: 10.1038/nature11241

デザート用と調理用が含まれるバナナ(バショウ属Musa種)は、ショウガ目に属する巨大な多年生単子葉草本である。ショウガ目は、詳しく研究されているイネ目(穀類が含まれる)の姉妹分類群である。バナナは、多くの熱帯、亜熱帯諸国の食料確保に不可欠な食物となっており、先進工業国では最も人気のある果物である。バショウ属植物の栽培化は、およそ7000年前に東南アジアで始まった。栽培化の過程では、人類の移動によってさまざまな種や亜種の間での交配が促され、単為結実性の種なし二倍体、三倍体雑種が選択され、それ以降、栄養繁殖によって各地に広まった。現在のバナナ生産量の半分は、三倍体の単一遺伝子型個体群(キャベンディッシュ種)に由来する体細胞繁殖系によるものである。害虫や病気がしだいに適応してきており、世界のバナナ生産には危機が迫っている。本論文では、バナナ(Musa acuminata)の倍加半数体遺伝子型の523メガ塩基のゲノム概要塩基配列を報告し、バナナの遺伝的改良の重要な足がかりを提供する。バショウ属系統では3回の全ゲノム重複の跡が認められたが、これはイネ目系統で以前に報告された全ゲノム重複や我々がヤシ目で検出した全ゲノム重複とは無関係である。イネ目以外の単子葉類で初めて報告された、この高連続性全ゲノム塩基配列は、植物の比較ゲノム解析を行うための重要な架け橋となる。これによって、ツユクサ類と単子葉類の系統学的関係と、イネ科に特有の性質が明らかになり、またすでに、単子葉類と真正双子葉類の分岐以前から保存されている非コード配列の発見につながっている。

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