Letter

医学:ACE2はアミノ酸の栄養不良と腸内細菌叢の状態や腸炎とを結びつける

Nature 487, 7408 doi: 10.1038/nature11228

世界では10億にも上る人々が栄養不良の状態にあり、これは死亡の主な原因の1つとなっている。栄養不良には多くの場合下痢と腸炎が伴い、これはさらに有病率や死亡率を高める要因になっている。しかし、偏った栄養摂取が腸内の恒常性にどのような仕組みで影響を及ぼすのかは、ほとんど解明されていない。今回我々は、レニン-アンギオテンシン系(RAS)の重要な調節酵素をコードするマウスアンギオテンシンI変換酵素(ペプチジルジペプチダーゼA)2遺伝子(Ace2)が欠失すると、上皮損傷による腸の炎症に対する感受性が非常に高くなることを明らかにした。RASは、急性肺不全、心血管機能、SARS感染にも関係することが知られているが、ACE2には、構造上RASに依存しない機能があり、腸内のアミノ酸の恒常性や抗菌ペプチドの発現、腸内細菌叢の状態を調節している。無菌の野生型マウスに、Ace2変異マウスの変化した細菌叢を移植すると、重い腸炎を発症しやすいという性質を持たせることができた。上皮免疫と腸内細菌叢のACE2に依存した変化は、食物由来のアミノ酸であるトリプトファンによって直接的に調節されていた。これらの知見は、ACE2が、食物由来のアミノ酸の恒常性や自然免疫、腸内細菌叢、腸炎に対する移植可能な感受性を調節する重要な因子であることを明らかにしている。今回の結果によって、アミノ酸の栄養不良が腸炎や下痢を引き起こす仕組みが、分子レベルで説明された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度