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医学:インフルエンザH5 HAを実験的に馴化させることにより、リアソータントH5 HA/H1N1ウイルスがフェレットでの飛沫感染性を獲得

Nature 486, 7403 doi: 10.1038/nature10831

H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスは、ときにはヒトに感染することもあるが、現在のところ、ヒトの間では効率よく伝播しない。ウイルスはヘマグルチニン(HA)を介して宿主特異的な細胞受容体に結合するため、このタンパク質がウイルスの宿主域を決定することがわかっている。今回我々は、H5亜型のHAを持つウイルスのHA分子がどのように変化すれば、ウイルスが哺乳類の間で伝播可能になるかを調べた。その結果、フェレットモデルで飛沫感染するようになったリアソータントH5 HA/H1N1ウイルス(H5N1ウイルス由来で4か所に変異が起こったHAを持ち、残る7つの遺伝子セグメントは2009年のパンデミックを引き起こしたH1N1ウイルス由来)を同定した。飛沫感染を起こすこのH5 リアソータントウイルスは、ヒト型受容体を特異的に認識し、フェレットで効率よく複製し、肺病変と体重減少を引き起こしたが、強い病原性は示さず、致死的ではなかった。これらの結果は、H5 HAが哺乳類での効率よいウイルス伝播を可能にするHAへと変化しうることを示している。しかし、H5 HAで今回見つかった4つの変異が、H5N1鳥インフルエンザウイルスそのものを伝播可能にするかどうかは、わからない。残る7つの遺伝子セグメントも、哺乳類での伝播に重要な働きをしている可能性がある。いずれにしても、H5N1ウイルスの進化とヒトへの感染は続いているため、ここで調べた鳥–ヒトリアソータントウイルスのような、受容体結合性が変化していてパンデミックを引き起こしうる変異H5N1ウイルスが出現する可能性はある。今回の研究によって、H5 HAを持つインフルエンザウイルスが引き起こすと考えられるパンデミックに備える必要があることが明確になった。この知見は、H5N1ウイルスの流行地を監視する際、分離ウイルスの重要なアミノ酸残基を識別して、パンデミックを引き起こすおそれのあるウイルスを予測するのに役立ち、ワクチンの開発、生産、供給のような効果的な対策に対する助けになるだろう。

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