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進化:タルウマゴヤシのゲノムから、根粒菌共生の進化に関する手がかりが得られる

Nature 480, 7378 doi: 10.1038/nature10625

マメ科植物は、根粒菌の内部共生により窒素固定を行う能力を持つために、栽培植物の中でも特異な存在である。この窒素固定の過程は、根粒と呼ばれる特殊な構造の中で起こる。マメ科植物が属するのは、真正バラ類の二大分類群の1つであるFabidae(マメ群)で、内部共生による窒素固定能力を持つほとんどの種がここに含まれる。マメ科植物は、6,000万年前の共通祖先から分岐したいくつかの進化的系統で構成されている。マメ亜科(Papilionoideae)はマメ科植物で最大の分岐群であり、その起源はマメ科植物の出現年代近くまでさかのぼり、ほとんどの栽培種はここに含まれる。タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)は、マメ科植物の生物学研究に長く使われてきたモデルである。今回我々は、タルウマゴヤシのユークロマチンの概要塩基配列を明らかにした。その基盤には最近完成したBACアセンブリーを用いて、イルミナショットガン配列で補完し、合わせてタルウマゴヤシの全遺伝子の約94%を捕捉した。タルウマゴヤシゲノムの形成には、約5,800万年前に起こった全ゲノム倍加(WGD)が重要な役割を果たし、内部共生による窒素固定の進化にも、このWGDが大きく寄与した。ゲノムがすでに解読されている他の2種類のマメ科植物、ダイズ(Glycine max)とミヤコグサ(Lotus japonicus)に比べると、タルウマゴヤシのゲノムはWGD後に、より高度な再編成を経験している。タルウマゴヤシは、広く栽培されているアルファルファ(Medicago sativa)の近縁種だが、アルファルファは複雑な同質四倍体の遺伝学的特性を持ち、解析に使えるゲノミクス手法が限られている。そのため、タルウマゴヤシのゲノム塩基配列は、アルファルファに対して使えるゲノミクス手法を拡大する糸口になるだろう。

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