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化学:光レドックス触媒反応によるアレーンおよびヘテロアレーンのトリフルオロメチル化

Nature 480, 7376 doi: 10.1038/nature10647

現代の創薬は、新しい医薬品の設計に伴う多くの難問に対処するための、合成方法の継続的進歩に頼っている。そのような難問の1つが、in vivoでのチトクロームP450オキシダーゼによる薬剤の酵素代謝に起因するものである。この酵素は、一電子酸化機構により迅速に小分子を改変して排出を促進する。in vivoでの代謝を防止するためによく用いられる合成戦略は、薬剤候補にトリフルオロメチル(CF3)基などの電子吸引性官能基を組み込むことである。CF3基は、医薬品化学分野で飛び抜けて多用されている。なぜなら、CF3基を小分子に組み込むと、標的との静電相互作用の活性化、細胞膜透過性の向上、薬剤の酸化的代謝に対する安定性の向上によって、薬効が高まることが多いからである。一般的なファーマコフォアは芳香族系にCF3モチーフを持つことが多いが、そのような類似体を得るには通常、多段階合成のはじめにCF3基または代替部を組み込んでおく必要がある。今回我々は、市販の光触媒と家庭用電球を用いてラジカル機構により非活性アレーンとヘテロアレーンを直接トリフルオロメチル化する穏やかで操作が単純な合成戦略について報告する。この変換の汎用性は、複数のヘテロ芳香族系と芳香族系へのCF3の付加を通して実証された。また、広く処方されている薬剤の直接トリフルオロメチル化の例によって、この方法の医薬品化学における有用性と後期薬剤開発への適用可能性も示された。

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