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遺伝:ナミハダニのゲノムから明らかになった草食性害虫の適応

Nature 479, 7374 doi: 10.1038/nature10640

ナミハダニ(Tetranychus urticae)は汎存性の農業害虫で、宿主植物の範囲が広く、農薬耐性の獲得歴もきわめて多い。本論文では、ナミハダニのゲノム塩基配列を完全解読し、注釈付けを行った結果を報告する。これは鋏角類としては初めてのゲノム完全解読である。ナミハダニのゲノムは90メガ塩基で、解読された節足動物ゲノムの中で最も小さい。ナミハダニゲノムは、他の節足動物ゲノムと比べてホルモン環境とHox複合体の編成に独特な変化があり、また糸を作るという進化的革新も見られる。異なった宿主植物の摂食にかかわる遺伝子ファミリーと、遺伝子の水平伝播によって獲得された新しい遺伝子ファミリーには、多食性や解毒作用を強く示す特徴が見つかった。さまざまな植物を摂食するナミハダニのトランスクリプトームの詳細な解析により、変化する宿主環境にこの害虫がどのように対応しているかが明らかになる。このようにナミハダニゲノムは、節足動物の進化や植物–草食動物相互作用を解明するための新たな手がかりとなり、新しい植物防疫戦略を開発するための得がたい機会を与えてくれる。

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