Letter

生化学:U2AFによるmRNA前駆体スプライシングの調節の基盤となっているのは複数のドメインのコンホメーション選択である

Nature 475, 7356 doi: 10.1038/nature10171

多くの細胞機能には多ドメインタンパク質がかかわっており、このようなタンパク質は構造的に独立した複数のモジュールが可動性のリンカーによって連結されてできている。1個のドメインがオリゴヌクレオチドやペプチドモチーフを認識する仕組みは詳しく解明されている場合が多いが、このようなリガンドの認識に、複数のドメインの動的相互作用がどうかかわっているのかはわかっていない。今回我々は、ヒトU2 snRNP補助因子の大サブユニット(U2AF65)による3′スプライス部位結合ポリピリミジントラクトRNAの認識という、mRNA前駆体スプライシングの初期に起こる重要な段階について調べた。U2AF65の縦列RNA認識モチーフドメインが、強力な(すなわち親和性の高い)ポリピリミジントラクトが存在する場合としない場合とで、2つの大きく異なるドメイン配置をとることがわかった。ポリピリミジントラクトRNAの塩基配列の違いの識別には、このような閉じたコンホメーションと開いたコンホメーションをとるものの割合の変動がかかわっている。2つのコンホメーション間の平衡が分子のレオスタット(可変抵抗器)として機能し、ポリピリミジントラクトのヌクレオチド組成、長さ、機能強度の本来的に存在する変動と、スプライソソーム集合の際のイントロンへのU2 snRNPの動員効率とを関連付けている。RNAの結合に直接影響せずにコンホメーション間の平衡をずらすような変異は、それに応じてスプライシング活性を変化させる。このような複数ドメインの協調的なコンホメーション選択と同じような機構は、多ドメインタンパク質による縮重ヌクレオチドやアミノ酸モチーフの認識に広く働いていると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度