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がん:全ゲノム塩基配列解読によって突き止められた慢性リンパ性白血病で繰り返し見られる変異

Nature 475, 7354 doi: 10.1038/nature10113

慢性リンパ性白血病(CLL)は、西欧諸国の成人で最もよく見られる白血病で、臨床における症状や進行度がさまざまという異質性のある疾患である。2つの主要な分子サブタイプが区別され、それぞれ免疫グロブリン遺伝子群可変領域の体細胞超変異の数が多い、あるいは少ないことを特徴とする。この疾患の病因につながる分子変化はまだほとんど解明されていない。本論文では、4種類のCLLについて全ゲノム塩基配列解読を行い、遺伝子機能に影響を与えていると思われる46個の体細胞変異を同定した。さらに、これらの変異についてCLL患者363人で解析を行い、変異が繰り返し見られる4個の遺伝子が同定された。それらはnotch 1(NOTCH1)、exportin 1(XPO1)、myeloid differentiation primary response gene 88(MYD88)およびkelch-like 6(KLHL6)である。MYD88KLHL6の変異は、免疫グロブリン遺伝子群の変異があるCLL症例に多く見られるが、NOTCH1XPO1の変異は免疫グロブリン遺伝子群に変異の見られない患者で主に見られる。機能解析や臨床分析からも裏付けられるように、体細胞変異のパターンは、NOTCH1MYD88およびXPO1に繰り返し見られる変異が発がん性の変化であり、この疾患の臨床的進行度にかかわっていることを強く示している。これは、全ゲノム塩基配列解読と臨床的特徴や臨床転帰を組み合わせた、我々の知るかぎりで最初の包括的なCLL解析である。今回の結果は、この手法ががんに臨床的に関係する変異を同定するのに有用であることをはっきり示している。

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