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再生医学:損傷後に活性化された成体心臓内部に生じたde novo心筋細胞

Nature 474, 7353 doi: 10.1038/nature10188

心血管の再生医療で重大なネックとなっているのは、虚血性心疾患および急性心筋梗塞後に、新しい心筋を提供できる幹⁄前駆細胞の利用可能な供給源を特定することである。細胞移植よりも理想的な治療法とは、患者自身が持つ前駆細胞供給源を刺激することであり、これによって、移植片の生着率の低さ、損傷部位への限定的なホーミング、宿主免疫による拒絶といった危険要因を回避することであろう。今回我々はマウスで、成体の心臓にはもともと幹細胞または前駆細胞集団が存在し、心筋梗塞後にその集団から最終的分化が完了した心筋細胞ができる可能性があることを立証する。我々は、チモシンβ4によるプライミングを介し、胚心外膜の重要な遺伝子Wt1(Wilm's tumour 1)の再発現によって活性化された成体前駆細胞の新しい遺伝学的標識を明らかにする。チモシンβ4は、傷害を受けた成体心外膜由来前駆細胞の血管分化能を回復させることが以前に示されたペプチドである。蓄積した証拠は、前駆細胞集団の起源が心外膜であることを示しており、胚の再プログラム化の結果、この細胞集団の可動化と、それに伴ってde novo心筋細胞への分化が起こる。細胞移植によって前駆細胞の源が確認され、標識されたドナー細胞の染色体彩色によって細胞の融合なしに筋細胞運命への分化転換が起こることが明らかになった。本論文では、誘導心筋細胞が構造的および機能的に元からある心筋と統合されることを示す。したがって、この成体前駆細胞プールを刺激することは、ヒトの虚血性心疾患で患者本人の細胞をベースとする治療に向けた大きな一歩となる。

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