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医学:卵巣がんの統合的ゲノム解析

Nature 474, 7353 doi: 10.1038/nature10166

卵巣がんの原因となる分子異常のカタログは、患者の生命予後を改善する治療法の開発と展開に不可欠である。「がんゲノムアトラス」プロジェクトは489例の高悪性度漿液性卵巣腺がんについて、メッセンジャーRNA発現、マイクロRNA発現、プロモーターのメチル化、DNAコピー数を解析し、これら腫瘍のうち316例についてコード遺伝子のエキソンのDNA塩基配列を決定した。本論文では、高悪性度漿液性卵巣がんの特徴として、ほとんど全例(96 %)でTP53に変異があることや、NF1BRCA1BRCA2RB1CDK12を含む9つの遺伝子で、出現率は低いが統計的に再現性のある体細胞変異や113個の有意な局所的DNAコピー数異常、および168個の遺伝子に及ぶプロモーターのメチル化が見られることを報告する。分析によって、卵巣がんには4つの転写サブタイプ、3つのマイクロRNAサブタイプ、4つのプロモーターメチル化サブタイプ、および生存期間に関連する1つの転写特性があることがわかり、BRCA1/2BRCA1またはBRCA2)およびCCNE1に異常のある腫瘍が生存に及ぼす影響に新たな光が当てられた。シグナル経路の解析から、分析した腫瘍の約半分で相同組み換えに欠陥があること、また、NOTCHおよびFOXM1シグナル伝達が漿液性卵巣がんの病態生理にかかわっていることが示唆された。

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