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生理:時計因子CLOCKおよびBMAL1の障害は低インスリン血症および糖尿病を引き起こす

Nature 466, 7306 doi: 10.1038/nature09253

分子時計は、昼夜を通して組織代謝に関与している律速酵素の概日振動を生み出すことによって、エネルギーの恒常性を維持している。摂食時には膵島がインスリンを分泌してグルコース恒常性を維持しており、糖尿病患者ではインスリン分泌の周期的な制御の調節が障害されることが認められているが、概日時計がこの過程にどのように影響を与えているのかは明らかでない。今回我々は、膵島には自己維持型の概日遺伝子があり、転写因子CLOCKおよびBMAL1の周期的変動が存在することを示す。概日リズム変異マウスでは、成長、グルコース代謝およびインスリンシグナル伝達に関与する膵島遺伝子の振動位相が遅延し、ClockおよびBmal1Arntlともよばれる)の変異マウスはどちらも耐糖能異常、インスリン分泌低下、膵島サイズおよび増殖の減少が認められ、加齢とともに増悪することを明らかにする。Clockの障害は、成長、生存およびシナプス小胞構築に関与する膵島遺伝子の発現を、トランスクリプトーム全体にわたって変化させる。特に、膵臓の時計を条件的に欠損させると、刺激–分泌間の共役の最終段階において、β細胞の機能不全による糖尿病を発症する。今回の結果は、インスリン分泌と睡眠–覚醒サイクルの協調にβ細胞時計が役割を果たしていることを実証し、膵臓の時計の除去が糖尿病発症の引き金となる可能性を示している。

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