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神経:大脳基底核回路の光遺伝学的制御によるパーキンソン病の運動行動の調節

Nature 466, 7306 doi: 10.1038/nature09159

大脳基底核の神経回路は、運動の計画と行動選択に重要な役割を果たしている。大脳基底核では2つの並行した経路の存在が報告されていて、運動機能に対して逆の影響を及ぼすとみられている。この古典的モデルによれば、「直接」経路を活性化すると運動が促進され、「間接」経路を活性化すると運動が阻害されることになる。しかし、さらに最近になって得られた解剖学的、機能的証拠からは、この仮説の妥当性に疑問が生じている。このモデルはこれまで一度も実験による検証が行われていないため、行動中の動物で、これらの回路の固有の機能はまだ解明されていない。今回我々は、直接経路、間接経路の中型有棘投射ニューロン(MSN)の光遺伝学的制御により、in vivoで大脳基底核回路を直接活性化した。光遺伝学的制御は、ドーパミンD1またはD2受容体の調節エレメントの制御下でCreリコンビナーゼを発現する細菌人工染色体導入トランスジェニックマウスの線条体で、ウイルスベクターを用いてチャネルロドプシン-2のCre依存的発現によって行った。間接経路のMSNを両側性に興奮させると、すくみ、動作緩慢、自発運動開始の減少などのパーキンソン病様症状が現れた。これに対して直接路のMSNを活性化すると、すくみが減少し、運動が増加した。1個体のパーキンソン病マウスモデルでは、直接経路の活性化によって、すくみ、動作緩慢、運動開始の異常が完全に救済された。今回の知見を総合すると、大脳基底核回路が運動行動の両方向性調節に極めて重要な役割を果たしていることが確証され、直接経路の回路の調節が、パーキンソン病の運動障害を改善する効果的な治療法になる可能性が示された。

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