Letter

遺伝:シオミドロのゲノムおよび褐藻類の多細胞性の独立した進化

Nature 465, 7298 doi: 10.1038/nature09016

褐藻類(褐藻綱)は、進化史が緑色植物と大きく異なる複雑な光合成生物であり、緑色植物との近縁度はごく低い。褐藻類は岩礁海岸の生態系の優占種であり、多くの場合過酷なその環境に対するさまざまな興味深い適応を示している。また、複雑な多細胞性を進化させた数少ない真核生物系統の1つでもある。今回我々は、コンブ類に近縁の褐藻類モデル生物である糸状海藻類シオミドロ(Ectocarpus siliculosus (Dillwyn) Lyngbye)の2億1,400万塩基対のゲノムの配列を報告する。集光装置遺伝子と色素生合成遺伝子の大規模集合の存在などのゲノムの特徴やハロゲン化物代謝などの新たな代謝過程は、極めて変化に富む潮汐環境に対処するこの生物の能力を説明している。この系統における多細胞性の進化は、さまざまなシグナル伝達遺伝子の存在と相関している。特に興味深いのは、1つの受容体キナーゼファミリーの存在である。それは、動物系統および緑色植物系統の双方で、このファミリーと近縁の分子の独立した進化が多細胞性の出現と結びつけられているからである。シオミドロのゲノム塩基配列は、この生物をモデル種として発展させるための重要段階であり、褐藻類のさまざまな生物学的性質をゲノミクス的方法と遺伝学的方法を組み合わせてさらに探究することを可能にするだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度