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遺伝:鳴禽のゲノム

Nature 464, 7289 doi: 10.1038/nature08819

キンカチョウは、ヒトの神経科学的特性に対して独自の関連性をもち、いくつかの研究分野で重要なモデル生物となっている。ほかの鳴禽類と同様に、キンカチョウは学習した発声でコミュニケーションを行う。キンカチョウ以外でこの能力をもつのは、ヒトおよびそれ以外の少数の動物種に限られ、現在までにゲノム塩基配列が解読されている唯一の鳥類であるニワトリは、この能力をもたない。本論文では、スズメ目という鳥類の大きな目に属する鳴禽のキンカチョウ(Taeniopygia guttata)のゲノム塩基配列の構造、機能、および比較解析の結果を示す。キンカチョウとニワトリでは、ゲノムの全体的な構造は類似していたが、多くの染色体内再配列、系統特異的遺伝子ファミリーの拡大、長い末端反復配列に基づくレトロトランスポゾンの数、および性染色体の遺伝子量補償の機構に差異が認められた。キンカチョウでは、歌うという行動が脳内の遺伝子調節ネットワークに働きかけて、長い非コードRNA、マイクロRNA、転写因子、およびその標的の発現量を変化させていることが明らかになった。また、歌を経験する際に調節される鳴禽系統遺伝子群に、急速な分子進化があったことを示す証拠も得られた。今回の結果は、発声によるコミュニケーションの基礎となる神経過程に対するゲノムの活発な関与を示すとともに、この行動の進化および調節にかかわっていると考えられる遺伝的基質を明らかにしている。

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