Letter

遺伝:全ゲノム塩基配列再解読によって明らかになった、ニワトリの家禽化の際に選択を受けた遺伝子座

Nature 464, 7288 doi: 10.1038/nature08832

家畜は、表現型の進化の遺伝学的研究を行うための優れたモデルである。家畜は、新しい環境である農場に遺伝的に適応するよう進化し、ヒトによる強力な選択を受け、それが形態、生理、行動での著しい表現型の変化に結びついてきた。このような発展の基盤となった遺伝的変化を同定すれば、遺伝的変異が表現型の多様性を形作る、一般的機構についての新たな手がかりが得られる。今回我々は、大量並行処理塩基配列決定法を用いて、ニワトリ(Gallus gallus domesticus)の家禽化とその後の肉用品種および卵用品種への分化に大きな役割を果たした、有益な対立遺伝子および候補変異の選択的スウィープ(selective sweep)を同定したことを報告する。家禽化されたニワトリ8種類と主要な野生祖先種であるセキショクヤケイ(Gallus gallus)に対応するゲノムDNAプールを用いて、カバー率44.5のニワトリゲノムを作製した。700万か所を超える一塩基多型、約1,300か所の欠失を同定し、選択的スウィープがあったと推定される領域も多数明らかにした。家禽化されたニワトリすべてにみられる最も注目すべき選択的スウィープは、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)をコードする遺伝子座に起こったものである。TSHRは、脊椎動物の代謝調節や繁殖の日長による制御に、極めて重要な役割を果たしている。肉用品種で見つかった選択的スウィープのいくつかは、成長や食欲、代謝調節にかかわる遺伝子群と重なっている。機能喪失変異の選択がニワトリの家禽化に主たる役割を果たした証拠はほとんど見つからなかったが、機能的に重要だと考えられるコード配列中に2か所の欠失が見いだされた。今回の研究は動物の育種に直接役立ち、これらの知見によって、家禽のニワトリは生物医学研究のモデル生物として重要性を増すだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度