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遺伝:DNA鋳型鎖配列を用いた姉妹染色分体の同定

Nature 463, 7277 doi: 10.1038/nature08644

一般に、姉妹染色分体は遺伝的および機能的に同一であり、娘細胞への分離はランダムな過程によって行われると考えられている。しかし、酵母では、姉妹染色分体間における機能の相異によって娘細胞の運命が制御され、大腸菌(Escherichia coli)では、姉妹染色分体の分離はランダムには行われない。しかしながら、姉妹染色分体の区別は、非ランダムな分離とあわせて、多細胞生物の発生で細胞運命を制御するのではないかという説が提唱されてきた。姉妹染色分体間を明確に識別する分子的特徴が認められないために、この仮説はこれまで検証されていない。今回我々は、セントロメアおよびテロメアの反復配列に特異的な一方向性プローブを用いたCO-FISH(chromosome orientation fluorescence in situ hybridization)によって、マウス中期染色体の姉妹染色分体では、親のDNA鋳型鎖における「ワトソン」および「クリック」の同定が可能であることを示す。すべての染色体は、短腕のTに富む主要なサテライト反復配列と同じ鎖上の5′末端と、同じ方向性をもつことが明らかにされている。反復DNAの方向性が一定であることを利用して、姉妹染色分体を区別して標識し、異なる細胞型での有糸分裂の分離パターンを直接検討した。培養肺繊維芽細胞および胚性幹細胞では、姉妹染色分体は娘細胞間にランダムに分布するようにみえたが、結腸陰窩上皮細胞の一部では、結腸幹細胞が位置するとされる場所以外にある細胞を含めて、姉妹染色分体の非ランダムな分離がかなり観察された。今回の結果は、in vivoで姉妹染色分体を識別し、有糸分裂によるその分離の追跡には、DNA鋳型配列が利用可能であることを立証している。

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