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系統学:細菌および古細菌に関する系統学主導のゲノム百科

Nature 462, 7276 doi: 10.1038/nature08656

細菌および古細菌のゲノム塩基配列解読によって、微生物が果たしている多くの役割に関する理解に大変革がもたらされた。現在、1,000種近い細菌および古細菌の全ゲノム塩基配列が明らかになっているが、そのほとんどは生理学的特性に基づいて塩基配列解読の対象に選ばれている。結果として、対象種の分布は系統学的には極めて偏ることになり、現在利用可能なゲノム塩基配列データから得られる展望は限定されている。ゲノム解読対象とする微生物を進化上の類縁関係に基づいて選択することで付加される有用性を検討するため、我々は、系統学的なカバー率が最大となるように選択した培養可能な細菌および古細菌56種のゲノム塩基配列を解読し、それらを分析した。この分析結果から、系統発生史の再構築、新規タンパク質ファミリーや生物学的特性の発見、他種生物の既知遺伝子に関する機能予測などのさまざまな領域で、(既存のデータベースから無作為に選択した同等のゲノム群と比較して)大きな成果が得られた。今回の結果は、既存の微生物ゲノムデータや今後解読されるゲノムから最大限の情報を導き出すために、系統学主導で「細菌および古細菌のゲノム百科」をまとめる体系的な「系統ゲノム」研究の必要性を強く裏付けている。

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