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顕微鏡法:光子誘起近接場電子顕微鏡法

Nature 462, 7275 doi: 10.1038/nature08662

材料科学や生物学の分野では、近接場光学顕微鏡によって、回折限界を超える空間分解能が得られるが、電子顕微鏡がもつ原子スケールの画像化能力を得ることはできない。電子と光子の相互作用の性質を考え、ナノ構造体によるそれらの結合を考慮すると、エバネッセント電磁場が時間的(フェムト秒)にも空間的(ナノメートル以下)にも解像されれば、電子パルスによるそのような場の画像化を実現できるはずである。今回我々は、光子誘起近接場電子顕微鏡法(PINEM)の開発とその関連現象について報告する。我々は、ナノ構造体(今回は単一のカーボンナノチューブや銀ナノワイヤー)におけるフェムト秒単一電子パケットと高強度光パルスとの正確な時空的重なりによって、200 keVまで加速された相対論的電子による光量子の整数倍(nhω)の直接吸収が生じることを示す。この吸収に由来する電子のみをエネルギーフィルター処理することによって、近接場電場分布を空間的に直接画像化し、場の時間的挙動をフェムト秒の時間スケールで得て、その空間的偏光依存性をマッピングすることが可能となる。我々は、今回の超高速電子顕微鏡法における光子誘起近接場効果の観測結果が、界面における局所場の直接時空間画像化や、フォトニクスやプラズモニクス、ナノ構造体に関係する現象の視覚化など、多くの応用の可能性を示していると考える。

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