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医学:ブタを起源とする新型H1N1インフルエンザウイルスのin vitroおよびin vivoでの特徴の解明

Nature 460, 7258 doi: 10.1038/nature08260

A型インフルエンザウイルスは、地域的もしくは世界規模での大発生を繰り返しており、こうした流行はヒトの健康や世界経済に重大な影響を及ぼす可能性がある。最近、ヒトで病気を引き起こし、ヒト間で伝染するA型インフルエンザウイルスの新規な株が見つかったが、これはおそらく、この新型ウイルス株に対する既存の免疫がほとんど、あるいは全くないためである。2009年6月11日に、世界保健機関は新型ウイルス株による感染がパンデミックの域に達したと宣言した。新型ウイルスはH1N1亜型のA型インフルエンザウイルスと見なされ、そのゲノム断片はブタのウイルスと最も近縁であった。ブタ起源H1N1インフルエンザウイルス(S-OIV)へのヒト感染のほとんどは軽度のようだが、入院患者の相当数には基礎疾患がなく、S-OIVが病原となりうることを立証している。新型ウイルスがもたらすリスクをよりよく評価するために、米国で最初に得られたS-OIV単離株の1つであるA/California/04/09(H1N1、以降CA04とよぶ)、およびその他のいくつかのS-OIV単離株のin vitroおよびin vivoでの特徴を明らかにした。CA04および調べたほかの単離株はマウスとフェレットで、現在広まっているヒトH1N1ウイルスよりも効率よく複製する。また、CA04は非ヒト霊長類中でも効率よく複製し、感染したマウス、フェレットおよび非ヒト霊長類の肺で、現在広まっているヒトH1N1ウイルスよりも重篤な病変を引き起こし、フェレット間では伝染がみられる。特定の病原体をもたないSPFミニブタでは、CA04は臨床症状を伴わず複製する。異なる年齢の集団から採取したヒト血清の評価からは、1918年に広まったウイルスに抗原性が極めてよく似ているヒトH1N1ウイルスへの感染が、CA04に対する中和抗体活性を付与すると考えられた。また、CA04が認可済みおよび実験段階の抗ウイルス薬に対して感受性であることを示す。このことは、これらの化合物が最近宣言されたS-OIVパンデミックに対する最初の防衛手段として機能しうることを示唆している。

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