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材料:機械応答性ポリマー材料における共有結合の力誘起活性化

Nature 459, 7243 doi: 10.1038/nature07970

機械化学変換は、触覚、聴覚、平衡感覚、筋肉の収縮、組織や骨の成長や再形成など、極めて多様な生理学的過程を可能としている。生物では、機械的刺激に対して能動的・機能的に応答する材料系が非常に多くみられるが、大きな外部応力に対するバルクポリマーの標準的な機械化学反応は、共有結合の非選択的切断であり、これによりポリマーの損傷や破壊が起こる。こうした劣化過程に代わるものが、機械的応力で材料特性が都合よく変わるような合成材料の合理的な分子設計である。この性質をもつ機械感受性ポリマーはいくつか開発されているが、その能動的応答が非共有結合性の過程によって媒介されるため、特性が変化しうる度合いや構造材料の長期安定性が制限される可能性がある。以前我々は、機械的応力に応答する化学基、いわゆるメカノフォア(mechanophore)を組み入れた溶解ポリマー鎖を用いて、力学的な力の方向性によって共有結合を選択的に切断したり再形成したりできることを示した。今回我々は、引っ張り応力下で可逆的電子環状開環反応が起こると変色するため、直接局所的に機械化学反応を視覚化できるメカノフォアの使用によって、力学的な力によって誘起される共有結合の活性化を、メカノフォアと結合したガラス状の弾性ポリマーでも実現できることを実証する。塑性変形の蓄積とともに色と蛍光の顕著な変化が現れることがわかった。これは、これらのポリマー材料では、力学的な力の開環反応への変換が活性化過程であることを示唆している。我々は、力学的な力による共有結合活性化が、損傷検知から完全再生型自己修復に至るまで、望ましい機能をポリマー材料に付与する新しいメカノフォア構成ブロックを開発する一般的手法となりうると考えている。

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