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遺伝:絶滅したマンモスの核ゲノム塩基配列の解読

Nature 456, 7220 doi: 10.1038/nature07446

1994年、2組の研究グループが更新世のいくつかのマンモス標本からDNAを抽出し、個々の標本の間に塩基配列差があることを見いだした。その後、いくつかの絶滅種でDNA塩基配列が明らかにされた。しかし、そうした古代DNAは断片化したり損傷を受けたりしている場合が多く、これまでの研究は短いミトコンドリアDNAの塩基配列にほとんど集中しており、核ゲノムではせいぜい1パーセントにあたる塩基配列しか得られていない。今回我々は、複数のマンモス標本に由来する41.7億塩基の配列を明らかにした。そのうち33億塩基(80%)はマンモス(Mammuthus primigenius)のゲノム由来で、1つの絶滅種のゲノム全体の塩基配列のかなりの部分を占めるものである。今回のデータは、ゾウ類のゲノムが40億塩基を超えるという過去の報告を裏付けている。マンモスとアフリカゾウとの推定分岐率は、ヒトとチンパンジーとの分岐率の半分である。2つのマンモス標本の間で異なるヌクレオチドの数は、そのうちの一方とアフリカゾウの間で異なるヌクレオチド数の8分の1程度であり、これは2つのマンモスの150万〜200万年前の分離に対応していた。ゾウとマンモスとでオルソロガスなアミノ酸が異なる確率は0.002と推定され、1種類のタンパク質あたり約1残基に相当する。マンモスとアフリカゾウでは、数十億年にわたる哺乳類の複合的な進化の間に不変のアミノ酸位置に差異が見いだされた。本研究は、絶滅種の核ゲノム塩基配列を解読することで、化石記録では明らかにならない個体群の差異を明らかにし、絶滅に影響した遺伝因子の発見もおそらく可能になることを示している。

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