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遺伝:包括的なゲノム特徴付けにより明らかになるヒト・グリオブラストーマ遺伝子および主要経路

Nature 455, 7216 doi: 10.1038/nature07385

通常ヒトのがん細胞には、多数の染色体異常、ヌクレオチドの置換およびエピジェネティックな修飾がみられ、それらが悪性転換を引き起こす。がんゲノムアトラス(TCGA)パイロット・プロジェクトは、ヒトがんにおけるこれら分子特性の大規模な多次元解析結果を評価し、そのデータを研究者たちに速やかに提供することを目的としている。本論文で我々は、成人の脳の原発がんで最も多くみられるタイプであるグリオブラストーマ206例で、DNAのコピー数、遺伝子発現およびDNAメチル化異常について、さらに206例中91例でヌクレオチド配列異常について、暫定的な統合的解析を行った結果を報告する。この解析により、ERBB2NF1およびTP53の役割について新たな手がかりが得られ、ホスファチジルイノシトール3-OHキナーゼ調節サブユニットの遺伝子PIK3R1の高頻度の変異が明らかになり、グリオブラストーマ発生時の経路の変化をネットワークの面から概観できる。さらに、突然変異、DNAメチル化および臨床治療データを統合して、治療を受けたグリオブラストーマにおける、MGMTプロモーターのメチル化と、ミスマッチ修復異常に起因するハイパーミューテーター表現型との関係を明らかにする。この所見は臨床的意義があると考えられる。以上の結果を総合すると、TCGAは実行可能で有力な手段であり、これによりがんの分子生物学的基盤の知識が急速に拡大できることが明らかである。

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