Article

医学:これまで軽んじられていたヒト三日熱マラリア原虫の比較ゲノミクス

Nature 455, 7214 doi: 10.1038/nature07327

世界では年間約5億1,500万人のマラリア患者が発生しており、その25〜40%は三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)によるものである。死に至ることはまれであるが、この原虫が引き起こす臨床症状は重症で、患者は活動不能となり、初回感染の軽快後、数カ月で再発することがしばしばである。三日熱マラリア原虫はヒトの主要な病原体として重要であるにもかかわらず、実験室では非ヒト霊長類を用いてしか継続的に増殖させることができないため、ほとんど研究されていない。我々は、三日熱マラリア原虫の特異な生物学的特徴を明らかにし、また新たな薬剤やワクチンの開発促進の手段とするため、三日熱マラリア原虫のゲノム塩基配列を解読した。本論文では、三日熱マラリア原虫染色体のシンテニーおよびアイソコア構造を示し、この原虫が遺伝子含量および代謝能力の面では他のマラリア原虫に近い一方で、新規な遺伝子ファミリーをもち、これまで知られていなかったもう1つの侵入経路を有するらしいことを明らかにする。三日熱マラリア原虫ゲノムの完全解読により、これまで軽んじられていたこの原虫に関する研究の進展に役立つ有用な情報が科学界にもたらされた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度