Letter

医学:天然HIV-1のgp120三量体の分子構造

Nature 455, 7209 doi: 10.1038/nature07159

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)やサル免疫不全ウイルス(SIV)のエンベロープ糖タンパク質(Env)は、標的細胞上の細胞表面受容体CD4へのウイルスの結合を仲介し、感染を引き起こす。Envは膜貫通型糖タンパク質(gp41)と表面糖タンパク質(gp120)のヘテロ二量体で、ウイルス膜の表面で三量体を形成している。本論文では、低温電子線トモグラフィー法を三次元画像分類・平均と組み合わせて用いて得た、リガンドを結合していない状態、広範囲に効果のある中和抗体b12と複合体を作った状態、およびCD4と17b抗体との三重複合体となった状態で、天然のHIV-1表面上にあるEnv三量体の三次元構造について報告する。電子線トモグラフィーで得た密度地図へ、b12やCD4/17bと結合したコンホメーションの単量体gp120中心部分の既知の結晶構造をはめ込むことで、リガンドを結合していない状態とCD4に結合した状態の天然HIV-1のgp120三量体の分子モデルを得た。CD4との結合により、Env三量体に大規模な再編成が起こり、個々のgp120単量体の外向きの回転と変位が引き起こされる。これは、三量体の中央軸上のgp41領域の再配置と結びついているようにみえ、ウイルスと標的細胞膜との密な接触を引き起こす。今回の知見は、抗体による中和と標的細胞への結合に関連したHIV-1のgp120三量体の構造とその変化を明らかにしている。

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