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遺伝:センモウヒラムシのゲノムと板形動物の性質

Nature 454, 7207 doi: 10.1038/nature07191

板形動物は、おそらく最も単純な自由生活動物であることから、原始的な後生動物の形態を示している可能性があるが、その生物学的性質はほとんどわかっていない。本論文では、板形動物センモウヒラムシ(Trichoplax adhaerens)の約9,800万塩基対の核ゲノムの塩基配列解読とその解析について報告する。全ゲノムの系統解析により、板形動物は、刺胞動物や左右相称動物の属する「真正後生動物」クレードに属しており、カイメンはそこから最も初期に分岐した動物であることが示唆された。センモウヒラムシの小型にまとまったゲノムには、ヒトをはじめとする複雑な真正後生動物ゲノムに対して遺伝子含量と遺伝子構造の保存、およびシンテニーが認められた。センモウヒラムシは、細胞の種類も生物体としても一見単純にみえるが、そのゲノムには多数の転写因子やシグナル伝達経路の遺伝子がコードされている。これらは概して、真正後生動物でみられる多様な細胞種や発生過程に関連のある遺伝子であり、細胞種に知られざる多様性がないか、生活史にこれまで観察されていない段階がないか、今後の研究が期待される。

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