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免疫:NF-κBはHIF-1αの転写調節を介して自然免疫と低酸素応答を結びつける

Nature 453, 7196 doi: 10.1038/nature06905

低酸素応答は周囲の低酸素(O2)状態によって引き起こされる、よく知られたストレス応答であり、低酸素誘導性転写因子-1(HIF-1)によって制御される。この転写因子のαサブユニットは正常酸素条件下で急速に分解されるが、そのO2依存性分解ドメインを標的とするO2依存性プロリルヒドロキシラーゼ(PHD)が阻害されると安定化する。そのため、エネルギー代謝と血管新生にかかわる遺伝子を制御するHIF-1αの量は、翻訳後調節を受けている。もう1つのやはりよく知られているストレス応答である自然免疫応答は複数の転写因子によって調節されるが、その中で中心的な役割を担っているのはNF-κBである。NF-κBの活性化は、IκBキナーゼ(IKK)、主にIKK-βによって制御されており、感染や炎症に応じて起こるNF-κB抑制因子IκBのリン酸化誘導性の分解が必要である。低酸素下での細胞培養では、IKK-βの活性化を減弱するPHDが阻害されると、IKK-βが中程度に活性化される。しかし、NF-κBとHIF-1αの間の関係をはっきりさせることは難しかった。in vitro系では、HIF-1αがNF-κBを活性化すること、NF-κBがHIF-1αの転写を制御すること、およびHIF-1αの活性化がNF-κBの抑制と同時に起こる可能性があることが報告されている。本論文では、さまざまな種類の細胞でIKK-βが欠損しているマウスを使い、NF-κBがHIF-1αの重要な転写活性化因子であり、また低酸素条件下の培養細胞および低酸素条件におかれた動物の肝臓や脳で、基底状態のNF-κB活性がHIF-1αタンパク質の蓄積に必要であることを示す。IKK-βの欠損により、血管内皮増殖因子を含むHIF-1α標的遺伝子の誘導低下が起こる。また、IKK-βは細菌感染を経たマクロファージで、HIF-1αの蓄積にも不可欠である。したがって、IKK-βは、低酸素応答に寄与する生理的に重要な因子であり、低酸素応答を自然免疫や炎症に結びつけている。

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