Article

生物物理:HIV逆転写酵素の活性は結合の配向動態によって支配される

Nature 453, 7192 doi: 10.1038/nature06941

ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)の逆転写酵素は、HIVの一本鎖RNAゲノムを宿主細胞組み込み用の二本鎖DNAに変換するための一連の反応を触媒する。この反応のためには、逆転写酵素が種々の核酸基質を区別して、RNAに指示されるDNA合成、DNAに指示されるDNA合成、DNAに指示されるRNA加水分解という3種類の触媒機能のうちのいずれか1つを果たせるように、酵素の活性部位を正しく配置しなければならない。しかし、基質が逆転写酵素の活性を調節する機構は不明だった。今回、我々は単一分子計測法により、逆転写酵素がさまざまな基質上でそれぞれ異なる配向動態を示すことを報告する。この酵素は二本鎖中のプライマーがDNAかRNAかによって結合時の配向が逆向きになり、それぞれDNA合成とRNA加水分解を指示する。プラス鎖DNA合成用の独特なポリプリンRNAプライマーを含む二本鎖上では、この酵素は2通りの配向を高速で切り替える。この切り替えの速度論的性質は、同族ヌクレオチドおよび主要な抗HIV薬である非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤によって調節された。これらの結果は、逆転写酵素の活性が基質上での結合の配向性によって決定されることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度