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細胞:クロマチンはプロモーターの閾値とダイナミックレンジとを切り離す

Nature 453, 7192 doi: 10.1038/nature06867

クロマチンは、DNA結合タンパク質がゲノム中の結合部位に接近するのを妨げることによって、遺伝子発現に影響を及ぼす。出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)で行われたヌクレオソームの位置の大規模解析により、プロモーターには、翻訳開始部位の上流数百塩基対までの範囲にヌクレオソームのない領域(NFR)が存在するという定型的構造があることが明らかになった。多くの転写因子はNFR内に結合し、クロマチンリモデリングの中心となって他のシス調節エレメントを露出させる。しかし、転写因子の結合やクロマチンが、遺伝子発現の定量的性質にどのように影響するかは解明されていない。今回我々は、ヌクレオソームが、主として誘導の閾値とダイナミックレンジとを切り離す働きをすることを明らかにした。1つのプロモーターの一連の変異体を使った実験により、露出した結合部位の親和性が、その後の遺伝子活性化に必要な生理的刺激の主要な決定因子であることと、ヌクレオソーム領域中にある結合部位が、いったんクロマチンリモデリングが起こった後は発現の程度を決める働きをすることが確認された。さらに、酵母のリン酸応答(PHO)経路はプロモーターのこのような設計を使って、環境中のさまざまなリン酸濃度に応じて遺伝子発現を変化させていることもわかった。今回の結果は、結合部位の親和性とクロマチンとの相互作用が、細胞の同一状態への応答を微調整する機構になっていることを示している。また今回の知見は、真核生物の転写調節のさらに詳細なモデルを考える土台になるかもしれない。

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