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細胞:RESTは胚性幹細胞の自己複製能と多能性を維持させる

Nature 453, 7192 doi: 10.1038/nature06863

神経抑制因子であるREST(RE1-silencing transcription factor、NRSFとも呼ばれる)は、マウス胚性幹(ES)細胞では高いレベルで発現するが、これらの細胞における働きは明らかにされていない。今回我々は、マウスES細胞において、RESTがマイクロRNAであるmiR-21の抑制によって自己複製能と多能性を維持させることを示す。既知の自己複製マーカーと同じく、自己複製中のマウスES細胞でのREST発現レベルは、分化過程にあるマウスES(胚様体、EB)細胞よりもはるかに高いことがわかった。マウスES細胞のRestのヘテロ欠失体(Rest+/-)、並びに短鎖干渉RNAによるノックダウン体では、自己複製条件下で増殖させた場合でも、自己増殖能が失われ、複数の系譜に特異的なマーカーを発現するようになる。反対に、RESTを外部からマウスEB細胞に加えた場合は、自己複製能が維持される。さらに、自己複製条件下で培養したRest+/−マウスES細胞では、Oct4(Pou5f1とも呼ばれる)、Nanog、Sox2、c-Mycをはじめとする数種の自己複製調節因子の発現レベルが大幅に低下するが、マウスEB細胞にRESTを外部から加えると、自己複製能をもつ表現型とこれらの自己複製調節因子の発現が維持される。また、マウスES細胞では、自己複製遺伝子を標的とする可能性のあるmiRNA群の遺伝子クロマチンに、RESTが結合していることも示す。マウスES細胞および外部からRESTを加えたマウスEB細胞では、これらのmiRNAの発現は低いが、EB細胞、Rest+/- ES細胞、Restを標的とする短鎖干渉RNAで処理したES細胞では、これらのmiRNAの発現は高い。RESTが制御するこれらのmiRNAのうち、少なくともmiR-21は、Oct4、Nanog、Sox2、およびc-Mycの発現低下に呼応して、マウスES細胞の自己複製を特異的に抑制する。したがって、RESTは、マウスES細胞の自己複製能と多能性を相互に関連し合いながら維持する制御ネットワークの新たに発見された要素である。

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