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物理:量子スピンホール相にあるトポロジカルディラック絶縁体

Nature 452, 7190 doi: 10.1038/nature06843

電子が高い外部磁場を受けているとき、通常の電荷量子ホール効果では、電子励起ギャップは試料バルク中に発生するが、金属性伝導は境界でのみ起こる。最近の理論モデルは、大きいスピン‐軌道相互作用をもつある種のバルク絶縁体では、量子極限で自然に伝導性のトポロジカル境界状態が生じることを示している。これは、外部磁場が零の場合の異常な量子ホール型現象の研究に道を開く。バルクBi1-xSbx単結晶は、トポロジカル絶縁体として知られている物質のこのような異常ホール相の最有力候補になると期待されている。トポロジカル絶縁体を示す特徴は金属性表面状態の存在であり、この状態は量子スピンホール絶縁体の特徴となるエッジ状態の高次元版になる。Bi1-xSbxバルクは、このような興味深い境界状態をもつとともに、三次元ディラック粒子も出現させると期待されている。この粒子は二次元グラフェンでの新知見と、純粋なビスマスで観測された電荷量子ホール分数化に続く最近のホットトピックの1つである。しかし、1960年代からBi1-xSb x群の物質の輸送や磁性の測定は多数行われたが、トポロジカルホール状態やバルクのディラック粒子のいずれかを直接示す証拠は得られていない。本論文では、入射光子エネルギーを変調した角度分解光電子放出分光法(IPEM-ARPES)を使って、Bi0.9Sb0.1のバルクにおける有質量ディラック粒子を直接観測した結果を報告し、試料境界におけるクラマース点の位置を決定し、そして、ディラック絶縁体のギャップレス表面電子バンドの詳細なマッピングを行う。これらの結果を総合すると、バルク絶縁体の境界で観測された表面状態は「トポロジカル金属」の実現と考えられる。これらの結果はまた、この物質が「光型の」バルク電流とスピン型表面流を組み合わせた次世代量子計算装置の開発に有望であることを示している。

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