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遺伝:甲虫目のモデルとしての害虫コクヌストモドキのゲノム解読

Nature 452, 7190 doi: 10.1038/nature06784

コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)は真核生物の中でも最も種数が多い甲虫目に属し、昆虫の発生研究に使われる有用なモデル動物であるが、同時に貯蔵農作物の重大な害虫でもある。本論文では、このコクヌストモドキのゲノム塩基配列を報告する。この虫は雑食性で、さまざまな化学環境で生きていく能力を進化させてきており、それは、嗅覚受容体や味覚受容体、さらにP450などの解毒酵素の遺伝子数が大幅に増えていることからも明らかである。コクヌストモドキは、その遺伝子の種類や機能からみて、ショウジョウバエよりも昆虫の発生をより一般的に代表している。例えば、コクヌストモドキは細胞間コミュニケーションにかかわる祖先遺伝子をショウジョウバエよりも数多く保持しており、その一部は短胚型発生における胚の体軸方向の伸長に必須な成長帯で発現している。コクヌストモドキの全身性RNA干渉は線虫(Caenorhabditis elegans)のRNA干渉とは働き方が異なるものの、遺伝子機能の解明や昆虫を選択的に制御するための標的の同定に、同じような威力を発揮する。

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