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疫学:インフルエンザの伝播に対する学校閉鎖の効果のSentinelネットワーク・データに基づく評価

Nature 452, 7188 doi: 10.1038/nature06732

高病原性インフルエンザウイルスH5N1がもたらす脅威に対し、公衆衛生機関はヒトにおける汎流行に備える必要に迫られている。汎流行前のワクチン接種や抗ウイルス剤使用は罹病率を有意に低下させると考えられるが、これらの備蓄には多額の費用がかかるため、多くの国にとっては実際的な対策ではない。したがって、薬剤によらない介入を基本とする代替的な抑制戦略が、対策の好ましい選択肢になるだろう。学校閉鎖は、最も頻繁に考慮される手段である。数カ月間にわたる学校閉鎖は、社会的、経済的な代償が大きいために不経済で異論も多い手段であり、また、インフルエンザの流行期間中における学校の役割に関しては現在のところ定量的データがないことから、汎流行の影響を低減する上で学校閉鎖がどのくらい有効かについては意見の一致がほとんど得られていない。本論文では、フランスにおける監視データと休暇時期を同時解析することにより、インフルエンザの流行に対する学校の役割を定量化し、汎流行時の学校閉鎖の効果を予測する。休暇によって児童へのインフルエンザの伝播率は20〜29%低下するが、成人の接触パターンに対しては、検出できるほどの影響は認められないことが明らかとなった。休日によって、季節性インフルエンザ患者は16〜18%(小児では18〜21%)減少する。外挿すると、汎流行期間中の学校閉鎖を延長することにより、累積患者数が13〜17%(小児では18〜23%)減少し、最大発病率が最高39〜45%(児童では47〜52%)減少する可能性が明らかとなった。児童間の接触率を長期間にわたって低く維持するのが困難であるとわかった場合には、学校閉鎖のこうした影響はもっと小さくなるだろう。

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