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細胞:VEGFおよび血管形成の転写コアクチベーターPGC-1αによるHIFに依存しない調節

Nature 451, 7181 doi: 10.1038/nature06613

心臓、脳および手足の虚血は、世界中で病的状態および死亡の主要な原因となっている。低酸素状態は血管内皮増殖因子(VEGF)や他の血管形成因子の分泌を促し、これは新血管形成と虚血性傷害に対する保護につながる。本論文では、強力な代謝センサーであり調節因子でもある転写コアクチベーターPGC-1α(peroxisome-proliferator-activated receptor-γcoactivator-1α)が、栄養や酸素の欠乏によって誘導されること、またPGC-1αが培養筋細胞やin vivoの骨格筋でVEGFの発現や血管形成を強力に調節することを示す。PGC-1α−/−マウスでは、虚血性傷害を受けた脚への通常の血流再開が著しく低下するが、遺伝子導入による骨格筋でのPGC-1α発現は虚血性傷害に対して保護的に働く。PGC-1αによるVEGFの誘導には、意外にも典型的な低酸素応答経路や低酸素誘導因子(HIF)が関与していない。その代わり、PGC-1αは、VEGF遺伝子のプロモーターおよび最初のイントロン内のクラスター中に見つかった保存された結合部位上にあるオーファン核受容体ERR-α(エストロゲン関連受容体-α)を同時に活性化する。したがって、PGC-1αとERR-αは、運動や他の刺激に応答したミトコンドリア機能の主要な調節因子であり、また、必要な酸素や基質を供給する新規血管形成経路も制御している。PGC-1αは虚血性疾患治療の新しい標的となる可能性がある。

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