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生化学:C2H4シグナル伝達系における二分岐MAPKカスケードによる核内EIN3の二重制御

Nature 451, 7180 doi: 10.1038/nature06543

MAPキナーゼ(MAPK/MPK)のカスケードシグナル伝達系における主たる疑問は、類似した構成要素が、酵母からヒトや植物にいたる情報処理機構でいかにして異なる特異性を指示するのかである。シロイヌナズナ(Arabidopsis)では、多様なシグナル伝達経路においてMPK3/6が個別の出力をどのように調節するかは、いまだに不明である。本論文では、体系的に細胞および遺伝スクリーニングを組み合わせることにより、MKK9-MPK3/MPK6カスケードが、エチレンシグナル伝達系でエチレン非感受性タンパク質3(EIN3)を介した転写を促進するというこれまで予想されていなかった結果を明らかにする。mkk9の突然変異体は、中程度のエチレン非感受性を持つ幅広い表現型を示し、核内に移動したMKK9は、受容体の下流にある核シグナル伝達系を支配する。直線的モデルと通常のMAPKシグナル伝達系から逸脱して、エチレンは負の調節因子であるCTR1(constitutive triple response 1、Raf様MAPKキナーゼキナーゼ[MAPKKK])を不活化し、正のMKK9-MPK3/6カスケードを活性化する。二分岐して拮抗的に働くCTR1とMKK9の経路はどちらも、EIN3の安定性に対して正反対の作用を示す2つのMAPKリン酸化部位を介して、エチレンシグナル伝達系の特異性決定に重要な役割を果たす。今回の結果は、相互作用するMAPKカスケードどうしが連携して、シグナル伝達ネットワークの定量的反応と特異性の制御を行っているという新たな理論的枠組みを示している。

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