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神経:マウス網膜の神経突起の分枝形成とモザイク状の空間配置にはDSCAMが必要である

Nature 451, 7177 doi: 10.1038/nature06514

網膜の神経細胞は、機能をもった回路をつくるために、突起を樹枝状に伸ばし、細胞体を間隔をとって配置することによって、一定の空間領域を占有する。この分枝形成には個々の細胞からの神経突起の自己忌避が必要であり、また、細胞体の間隔をとった配置には、細胞体の位置を決め、周りに同種の細胞の入れない空間を確保する必要がある。異なった型の細胞によるモザイク状のパターンは、重なり合ってそれぞれ別に形成される。脊椎動物の網膜でこの過程を誘導している理由が何なのかは、解明されていない。今回我々は、ダウン症候群細胞接着分子(Dscam)に自然突然変異のあるマウスで、ある種の網膜アマクリン細胞に神経突起分枝と細胞体の配置に欠陥がみられることを明らかにする。Dscam遺伝子は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する接着分子をコードしている。変異マウスの網膜では、正常ならDscamを発現するはずの細胞の突起が束状になり、秩序だった分枝が作れなくなっていた。また変異マウスの細胞体は、規則的な間隔のモザイク状には配置されず、ランダムに分布したり寄り集まったりしていた。今回の結果が示すように、マウスのDSCAMは、ある種の細胞において同一ニューロンの自己忌避や異なるニューロンの自己忌避にかかわり、神経突起の束形成を防ぎ、モザイク状パターンを維持する働きをしている。この機能は、ショウジョウバエのDSCAM、DSCAM2の機能とよく似ている。DSCAMは哺乳類神経系の他の領域でも同様に機能している可能性があり、またこの機能は、哺乳類のDscam遺伝子ファミリーに属する他の遺伝子にも共通するかもしれない。

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