Article

細胞:トランスポゾン由来のタンパク質による、宿主ゲノムのレトロトランスポゾン監視

Nature 451, 7177 doi: 10.1038/nature06499

転位性遺伝因子とその残骸は、真核生物のゲノムのかなりの部分を占めている。宿主ゲノムは、転位性遺伝因子を制御するために、クロマチン修飾やRNA干渉などの防御機構を進化させてきた。本論文では、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)に、トランスポザーゼ由来の複数のセントロメアタンパク質CENP-B相同体によるゲノムのレトロトランスポゾン監視機構があることを報告する。分裂酵母のCENP-B相同体はヒストンデアセチラーゼに集まり、これを動員してTf2レトロトランスポゾンのサイレンシングを行う。またCENP-B相同体は、単独の長い末端反復配列(LTR)とLTR関連遺伝子も抑制する。これらのCENP-B相同体は個別の核内構造をつくり、Tf2因子はこれらの構造に依存して凝集して「Tf体(Tf body)」という構造体をつくる。またCENP-Bは、「絶滅した」Tf1レトロトランスポゾンが「現存する」Tf2と組み換えを起こすのを阻害することにより、「絶滅した」Tf1が宿主ゲノムに再侵入するのを防ぎ、組み込まれているTf1をTf体へと隔離して抑制し、動けなくする。今回の結果により、おそらく古くからあって宿主ゲノムの完全性を保つのに重要な役割を果たしているレトロトランスポゾン監視経路の存在が明らかになり、ゲノムの進化に大きな影響を及ぼしてきたと考えられる主要な転位性遺伝因子であるDNAトランスポゾンとレトロトランスポゾンの間に対立がある可能性が浮かび上がってくる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度