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細胞:鞭毛のIII型分泌のエネルギー源

Nature 451, 7177 doi: 10.1038/nature06497

細菌の鞭毛には特殊化した分泌装置が備わっていて、フィラメントなどの構造を作るタンパク質のサブユニットを膜の外側へと運ぶ役割をしている。この装置は、グラム陰性の病原菌や共生菌が宿主細胞中にエフェクタータンパク質を送り込むのに使うインジェクティソームに似ているので、どちらの系でもこの外部輸送機構は「III型分泌」と呼ばれる。鞭毛の分泌装置は、5個程度のタンパク質からなる、膜に埋め込まれたタンパク質複合体と可溶性の因子からできていて、その中には外部輸送専門のシャペロンや輸送のエネルギーを供給するとされるATPアーゼFliIが含まれる。今回我々は、サルモネラ属のSalmonella entericaの鞭毛分泌にはプロトン駆動力(PMF)が必要であり、FliIによるATP加水分解は不必要なことを明らかにする。プロトノフォアCCCPで処理すると、鞭毛輸送の基質のいくつかは、外へと運ばれなくなるが、それに伴った細胞ATPレベルの低下はみられなかった。FliIをもたない変異体や鞭毛以外のIII型分泌にかかわるATPアーゼInvJ、SsaNをもたない変異体では、スワーム型運動性が弱く、鞭毛が少なかった。これらの知見は、鞭毛分泌装置がプロトン駆動力によって働くタンパク質外部輸送装置であり、ATP加水分解はIII型分泌に必須でないことを示している。

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