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細胞:GABAA受容体によるヒストンH2AX依存的な幹細胞の増殖制御

Nature 451, 7177 doi: 10.1038/nature06488

幹細胞の自己複製は、多分化能を継続的に維持しながら増殖することを意味している。幹細胞数の小さな変化が分化後の細胞数に大きな違いを生み、重要な生理的結果をもたらす可能性がある。一般に増殖はG1期に制御され、分化と細胞周期の停止に関係する。しかし、胚性幹(ES)細胞には、G1チェックポイントが存在しない可能性がある。「DNA損傷」S/G2細胞周期チェックポイント経路における増殖制御は、クロマチン構造の完全性の維持に役割をもつことが知られている。本論文では、GABAA受容体を介したオートクリン/パラクリン的γ-アミノ酪酸(GABA)のシグナル伝達が、ES細胞および末梢神経堤幹(NCS)細胞の増殖、およびboundary-cap幹細胞ニッチにおける着床前胚の成長と増殖を負に制御し、その結果、この幹細胞ニッチから神経系細胞への分化が減少することを示す。GABAA受容体の活性化は、過分極、細胞容積の増大、およびS期の幹細胞の蓄積を引き起こし、それによって細胞増殖が急速に低下する。GABAA受容体は、ホスファチジルイノシトール-3-OHキナーゼ関連キナーゼファミリーのS期チェックポイントキナーゼおよびヒストン変異体H2AXを介してシグナル伝達を行う。このシグナル伝達経路は、分化、アポトーシス、およびDNAへの明白な損傷とは無関係に、増殖を厳密に制御する。今回の結果は、これらの幹細胞の増殖制御には、大部分の体細胞と比較して、本質的に異なる機構が存在し、この機構にはDNA損傷のチェックポイント経路のタンパク質が関係していることを示している。

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