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細胞:細菌鞭毛タンパク質の輸送におけるFliI ATPアーゼとプロトン駆動力の役割分担

Nature 451, 7177 doi: 10.1038/nature06449

多くの可溶性タンパク質の細胞膜越しの輸送は、ATPアーゼの加水分解反応を駆動力として起こる。細菌の運動性を担う鞭毛を構築する構成タンパク質は、そのほとんどが鞭毛タンパク質輸送装置によって輸送される。FliI ATPアーゼはこの輸送に必要で、そのATPアーゼ活性はFliHによって制御される。しかし、ATPの加水分解によりもたらされる化学的エネルギーが輸送過程に利用される仕組みは明らかではない。今回我々は、FliIが欠失してもサルモネラ属のネズミチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)の鞭毛タンパク質が輸送されることを報告する。fliHfliIの二重欠損変異体は弱いながらも運動性を有していた。輸送ゲートの中核部分を形成するFlhAあるいはFlhBのある種の変異は、二重欠損変異体のタンパク質輸送と運動性を大幅に改善した。さらに、プロトン駆動力が輸送過程に不可欠であることを見いだした。以上の結果は、FliH-FliI複合体が輸送基質を輸送ゲートに挿入する初期段階だけを促進しており、ATP加水分解のエネルギーは、輸送されようとするタンパク質からFliH-FliI複合体を解離させるために用いられることを示唆している。引き続いて起こる輸送基質の継続的なアンフォールディングと輸送の過程は、プロトン駆動力により駆動される。

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