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細胞:BAI1はアポトーシス細胞に対する貪食受容体で、ELMO/Dock180/Racモジュールの上流で働く

Nature 450, 7168 doi: 10.1038/nature06329

アポトーシス細胞の貪食とそれに続く分解は、あらゆる多細胞生物の一生を通じて起こる不可欠な過程である。ELMO/Dock180/Racタンパク質は、保存されたシグナル伝達モジュールで、アポトーシスを起こした細胞の死骸の取り込みを促進する。ELMOとDock180は一緒に、低分子GTPアーゼであるRacのグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)として働き、それによって貪食の際の食細胞のアクチン細胞骨格を調節する。しかし、ELMO/Dock180/Racモジュールの上流で働く受容体(群)は、まだ見つかっていない。今回我々は、脳特異的血管新生阻害因子1(brain-specific angiogenesis inhibitor 1;BAI1)がELMOの上流にある受容体であり、また、アポトーシス細胞のホスファチジルセリンに結合する受容体であることを突き止めた。BAI1は付着型のGタンパク質共役型受容体ファミリーに属する7回膜貫通型タンパク質で、細胞外領域が長く、リガンドは知られていない。BAI1は、アポトーシス細胞の認識とその後の取り込みの両方にかかわる貪食受容体として働くことを示す。さまざまな実験から、アポトーシス細胞の表面に露出している主要な「eat-me」シグナルであるホスファチジルセリンが、BAI1のリガンドであることがわかった。BAI1の細胞外領域にあるトロンボスポンジン1型反復配列が、ホスファチジルセリンへの直接結合にかかわっている。細胞内シグナル伝達の場合と同様に、BAI1はELMO、Dock180と三成分複合体を形成する。機能研究の結果から、BAI1はELMO/Dock180/Racと協同して、アポトーシス細胞の貪食が最大限行われるように促進していることが明らかになった。またBAI1の発現低下、あるいは干渉によるBAI1機能阻害は、標的となるアポトーシス細胞の貪食を、ex vivoでもin vivoでも阻害する。したがって、BAI1はホスファチジルセリンを認識する受容体で、Rac-GEF複合体を直接呼び集めて、アポトーシス細胞の取り込みを仲介していると考えられる。

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