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細胞:ショウジョウバエ属における性差のある遺伝子発現の抑制とターンオーバー

Nature 450, 7167 doi: 10.1038/nature06323

ゲノムの内容と発現パターンはどちらも、生物種間の表現型の差異に寄与している。性差は1つの種に属する個体間での最も重要な差異であり、長い間、非常に進化が速いと考えられてきた。実際にショウジョウバエ属では、精子の長さ、生殖器、生殖腺のサイズといった形質は、種による違いが最も明確である。性による偏りのある遺伝子発現を比較解析すれば、進化におけるゲノムの内容と配置の関係についての理解を深められるだろう。我々はDrosophila melanogasterD. simulansD. yakubaD. ananassaeD. pseudoobscuraD. virilisD. mojavensisで、オーソログと種限定的な遺伝子の発現の性差を調べるため、既存のゲノムと新たに解読されたゲノムとを用いて、種特異的なマイクロアレイを作製した。我々は、ショウジョウバエ属内では、平均的な発現の性差の変化が時間とともに単調に蓄積してきたことを示す。しかし、ショウジョウバエ属内の近縁種グループ間を比較したところ、異なる遺伝子がグループ内での発現の変動に寄与していることがわかった。雄に偏って発現する種限定的な遺伝子の方がターンオーバーが激しいことから、遺伝子の形成と消失が種の差異に大きな役割を果たすことが示唆される。また、雄に偏って発現する遺伝子は、発現もDNA塩基配列も相違が最も大きいこともわかった。このように雄に偏って発現する遺伝子の相違が大きく、ターンオーバーも激しいのは、雄の生殖系列における転写速度が速いことや、雌で発現する遺伝子の方が機能的多面性が高いこと、あるいは性的競合が原因となっているのかもしれない。

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