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発生:プリンを介したシグナル伝達が目の発生を引き起こす

Nature 449, 7165 doi: 10.1038/nature06189

EFTF(eye field transcription factor)の保存されたネットワークは、脊椎動物と無脊椎動物の目の発生の基盤となっている。目の発生を指示するために、このネットワークの主要な遺伝子Pax6は、Rx1Six3など、他のEFTFをコードする遺伝子と相互作用する。しかしながら、EFTFの発現を制御する機構についてはまだわかっていない。本研究で我々は、プリン(purine)を介したシグナル伝達が、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)でEFTFの発現と目の発生の両方を引き起こすことを示す。ATPをADPに変換する細胞外酵素であるE-NTPDアーゼ2(ectonucleoside triphosphate diphosphohydrolase 2)の過剰発現は時折、完全な形態にまで至る、目に類似した構造を異所的に誘導し、Pax6Rx1Six3の発現を増加させた。逆に、内在性のE-NTPDアーゼ2の抑制は、Rx1Pax6の発現を減少させた。したがってE-NTPDアーゼ2は、これらのEFTFの上流で機能している。ADP(E-NTPDアーゼ2による生成物)が、アフリカツメガエルにおけるADP選択的受容体であるP2Y1を介した目の発生誘導に機能するか調べるために、E-NTPDアーゼ2とP2Y1受容体をコードする遺伝子の発現を同時にノックダウンした。その結果、Rx1Pax6の発現と目の形成が完全に阻害された。次に、目の予定形成領域でのATPの放出を測定したところ、(一度ADPに変換されて)EFTFの発現を誘導しうるタイミングで、一過性のATPの放出がみられた。ヒトの第9染色体上にあるE-NTPDアーゼ2遺伝子座の変異は、小眼球症をはじめとする頭部や目の異常の原因となることから、目の発生における一過性のプリンを介したシグナル伝達のこの意外な役割は、おそらく進化的に広く保存されていると考えられる。これらの結果は、目の発生開始にかかわる新たな機構を示唆するものである。

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