Letter

気候:最終退氷期における北太平洋深海からの二酸化炭素放出

Nature 449, 7164 doi: 10.1038/nature06227

大気中の二酸化炭素濃度は、間氷期よりも氷期の方がかなり低かったが、この差異の原因となる仕組みはまだよくわかっていない。最近の多くの説明では、氷期には換気の少ない深海に炭素がより多く貯蔵されると考えられているが、氷期の深海の換気や呼吸によって生じた炭素の量に関する直接証拠は乏しく、あいまいなことが多い。本論文では、亜北極太平洋の深海全域にわたる採取地点から得られた堆積物の地球化学的記録を示し、これまでに報告された結果と合わせて、最終氷期極大期には、呼吸によって生じた二酸化炭素を高い濃度で含む、あまり換気されない水塊が北太平洋の深海を占めていたことを明らかにする。18,000年から15,000年前の退氷期の第1段階では、南大洋深海の換気は増加していたと推測されているのにもかかわらず、亜北極太平洋の深海で換気が増加したという証拠は、約14,600年前の急速な遷移期までは見つかっていない。この変化は表層水からの輸出生産の加速に伴うものであったが、大気中の二酸化炭素濃度はわずかしか増加していない。これらの変化は、北大西洋における深層水の形成がほぼ同じ年代に増大したことと機構的に結びつくと推測される。この深層水の形成により、呼吸から生じた二酸化炭素が北方の深海水から海洋上層へ急激に流れ出したが、養分の供給も増え、中層でより多くの二酸化炭素が隔離されて、大気中の二酸化炭素濃度の増大が遅れたのである。今回の発見は、孤立した深海の貯蔵庫から、呼吸によって生じた二酸化炭素が退氷期に急激に流れ出たと考える仮説に定性的には一致するが、北大西洋と南大洋の供給源領域の間で深層水の活発な換気域が切り替わるにつれて、蓄えられた二酸化炭素が徐々に解放された可能性を示唆している。

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