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医学:中枢神経系への低分子干渉RNAの経血管的送達

Nature 448, 7149 doi: 10.1038/nature05901

神経疾患治療における大きな障害の1つは、治療用分子の血液から脳への進入を妨げる血液脳関門の存在である。今回我々は、狂犬病ウイルス糖タンパク質(RVG)に由来する短いペプチドが、脳への低分子干渉RNA(siRNA)の経血管的送達を可能にすることを示す。29個のアミノ酸からなるこのペプチドは、神経細胞に発現されるアセチルコリン受容体に特異的に結合する。siRNAの結合を可能にするために、RVGのカルボキシ末端にアルギニン九量体を加えたキメラペプチドを合成した。このRVG-9Rペプチドは、in vitroでは神経細胞に結合してsiRNAを形質導入し、効率的な遺伝子サイレンシングを行うことができた。RVG-9Rをマウスへ静脈内投与すると、siRNAは神経細胞まで送達され、脳内で特定遺伝子のサイレンシングを引き起こした。さらに、RVG-9Rに結合させた抗ウイルス性siRNAの静脈内投与では、マウスの致死的なウイルス性脳炎に対する強い保護作用が認められた。RVG-9R結合siRNAを反復投与しても、炎症性サイトカインや抗ペプチド抗体は誘導されなかった。したがってRVG-9Rは、siRNA、また恐らく他の治療用分子についても、血液脳関門を通過させて送達する安全で非侵襲的な手法となる。

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