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構造生物学:ヒストンシャペロンCIA/ASF1とヒストンH3、H4からなる複合体の構造と機能

Nature 446, 7133 doi: 10.1038/nature05613

CIA(CCG1相互作用因子A)/ASF1は真核生物で最もよく保存されているヒストンシャペロンで、酵母では遺伝子スクリーニングによって抗サイレンシング因子(Asf1)として遺伝学的に同定された。その後すぐに、ヒストンシャペロンCAF-1の活性促進因子としてCIA-ヒストンH3-H4複合体がショウジョウバエから単離され、ヒト細胞においては一般的な転写開始因子TFIIDのCCG1サブユニット内のブロモドメイン(アセチル化されたヒストンの認識ドメイン)と相互作用するヒストンシャペロンとしてCIA-I/II(ASF1a/b)が同定された。その後の集中的な研究によって、ヒト細胞および酵母では、CIA/ASF1がほかのヒストンシャペロンと複合体を形成することによりヌクレオソームの形成にかかわること、さらに酵母ではCIA/ASF1がDNA複製、転写、DNA修復やサイレンシング/抗サイレンシングにもかかわることが示されている。またヒト細胞が増殖する際、可溶性ヒストンを保持する主要なシャペロンがCIA/ASF1であることも明らかにされた。このような生化学的解析や生物学的機能解析にもかかわらず、CIA/ASF1のヌクレオソーム形成・破壊活性の構造-機能相関は解明されていなかった。今回我々は、CIA-IとヒストンH3、H4からなる複合体の2.7Å分解能での結晶構造を報告する。この構造から、ヒストンH3-H4二量体がもう1つのヒストンH3-H4二量体およびCIA-Iと排他的に相互作用すること、ヒストンH4のβ構造をとっているC末端が大きくコンホメーション変化することで、結合相手をヒストンH2Aのβ構造部分からCIA-Iのβ構造部分に変えることが示された。さらにin vitroでの機能解析により、CIA-IがヒストンH3-H4四量体を破壊する活性をもつことを実証した。なお、ヒストンH3-H4二量体との結合活性が弱いCIA-I変異体は、細胞内の転写に関連した機能に重大な影響を及ぼすことが明らかになった。CIA/ASF1のヒストンH3-H4四量体破壊活性とCIA/ASF1-ヒストン H3-H4二量体からなる複合体の結晶構造は、ヌクレオソームの形成/破壊機構とヌクレオソームの半保存的複製機構の両方に関する知見を与えるものである。

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