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ヘキソンタンパク質のキメラアデノウイルス5型ベクターは既存の抗ベクター免疫を回避する

Nature 441, 7090 doi: 10.1038/nature04721

宿主の中和抗体から逃れるためにウイルスが表面タンパク質を変異させるのは、ウイルスの免疫回避における一般的戦略である。抗ベクター免疫という重要な問題を解決するための新たな遺伝子送達ウイルスベクターの開発において、そのような免疫回避法が意図的に応用された例はない。複製不能なアデノウイルス血清型5(rAd5)をベクターとして作製した、ヒト免疫不全ウイルス1型やほかの病原体に対する組み換えワクチンは、前臨床研究において強い免疫原性をもつことが証明されたが、ヒト集団内、特に発展途上国においては、Ad5に対する免疫が既に広く存在していることから、おそらく使用が制限されるであろう。今回我々は、rAd5ベクターを改変することで抗Ad5免疫を回避できることを示す。我々はAd5のヘキソンタンパク質の表面にある7つの短い超可変領域(HVR)をまれなアデノウイルスAd48型の対応するHVRで置き換えた、新しいキメラrAd5ベクターを構築した。これらのHVRキメラrAd5ベクターは高力価で産生され、また、in vitroで連続継代させても安定であった。サル免疫不全ウイルスのGag(群特異的抗原)を発現しているHVRキメラrAd5ベクターは、感染していないマウスやアカゲザルでrAd5の親ベクターに匹敵するほどの免疫原性があることが証明された。既に強い抗Ad5免疫が存在する場合、HVRキメラrAd5ベクターの免疫原性は検出可能なほどには抑制されなかったが、rAd5親ベクターの免疫原性は消失した。これらの結果は、機能的に関連した抗Ad5特異的中和抗体がヘキソンのHVR内に存在するエピトープを標的としていることを示している。さらに、ウイルスのキャプシドタンパク質表面上に存在する重要な中和エピトープを除去することにより、既存の抗ベクター免疫を回避できるように組み換えウイルスベクターを改変できることもわかった。そのようなキメラウイルスベクターはワクチン接種や遺伝子治療の実用化に重要なかかわりをもつと考えられる。

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