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転位の多重接合とひずみ硬化

Nature 440, 7088 doi: 10.1038/nature04658

微視的スケールでは、結晶の強度は転位とよばれる特徴的な線欠陥の移動、増加、相互作用に由来する。実験的に観察された低い結晶強度を説明するために転位の存在が初めて理論的に提唱されたのは1934年のことだが、存在が確認されたのはその20年後である。それ以来、転位物理学における研究の多くが、転位の相互作用およびひずみ硬化におけるその役割の解明に重点を置いてきた。ひずみ硬化は、継続的な変形によって結晶強度が増大する一般的な現象である。既存の理論は、2本の交差する転位どうしが出合って接合部を形成する2本1組の転位反応とひずみ硬化とを関連づけている。本論文では、3本の転位の相互作用によって、転位ネットワーク・トポロジーの「多重接合」と名づけた特異な要素が形成されることを報告する。我々は、転位の動力学的性質と原子論的シミュレーションを用いて多重接合の存在をまず予測し、次いで単結晶モリブデンを使った透過型電子顕微鏡実験により多重接合の存在を確認した。大規模な転位動態シミュレーションでは、多重接合は転位の移動を妨げる非常に強固で壊れにくい障害となり、転位増加の新たな源となって、変形しつつある結晶の転位微細構造と強度の変化に重要な役割を果たす。シミュレーション解析によって、多重接合は体心立方結晶におけるひずみ硬化でみられる強い方向依存性の原因であると結論づけられる。

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