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がん細胞の移動と骨転移のRANKLによる調節

Nature 440, 7084 doi: 10.1038/nature04524

骨転移は多くのがんで頻繁にみられる合併症で、重度の疾病負荷と苦痛を引き起こす。19世紀の後半以降、ある種のがんが特定の臓器に転移する傾向には、局所宿主組織の微小環境が積極的に関与しており、骨は特に肥沃な「土壌」を提供すると考えられてきた。乳がんの場合、これらの腫瘍が特定の臓器に選択的に転移する理由を説明するものとして、局所のケモカイン環境が現在浮上している。しかし、in vivoでケモカイン受容体を阻害しても、転移を部分的にしか防止できないことから、乳がん細胞の選択的転移の調節には、ほかの因子が関与していると考えられる。本論文では、サイトカインであるRANKL(receptor activator of NF-κB ligand)が、受容体RANKを発現するヒトの上皮性がん細胞および黒色腫細胞の移動を誘発することを示す。RANKは、がん細胞株および患者の乳がん細胞で発現している。黒色腫転移のマウスモデルでは、in vivoでオステオプロテジェリンによりRANKLを中和すると、麻痺はまったく起こらず、腫瘍量は骨では顕著に減少したが、他の臓器では減少しなかった。この結果は、がん細胞の移動と組織特異的な転移には、RANKLなどの局所的な分化因子が重要な役割を果たすことを示している。

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