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遺伝:病原性、アレルゲン性を持つ糸状菌Aspergillus fumigatusのゲノム塩基配列

Nature 438, 7071 doi: 10.1038/nature04332

Aspergillus fumigatusは、一次感染と日和見感染を起こす病原体であると同時に、主要なアレルゲンでもあるという点で、独特な微生物である。分生子を数多く生産するため、ヒトの気道は絶えずこの分生子にさらされている。A. fumigatusは住宅やたい肥から単離されているが、免疫無防備状態のヒトでは、侵襲的感染率は50%にも上り、致死率が50%に達することも多い。A. fumigatusや空中に浮遊する他の菌類と免疫系との相互作用は、重症の喘息や副鼻腔炎と関連することがしだいにわかってきている。A. fumigatusが原因の感染症による被害は相当なものだが、この菌の基本的な生物学的性質はほとんどわかっていない。今回我々は、臨床分離株Af293の29.4メガ塩基の完全なゲノム塩基配列を解読した。このゲノムは8本の染色体に分かれ、9,926個の推定遺伝子を含んでいる。マイクロアレイ解析により、異なった遺伝子群が温度に応じて発現することがわかり、700個の遺伝子は非常に近い関係にある有性生殖する菌Neosartorya fischeriには存在しないか、存在しても大きく異なることが明らかになった。その多くは、病原性にかかわっている可能性がある。Af293ゲノムの塩基配列からは、この注目すべき糸状菌の解明を進める上で、またとない知見が得られるだろう。

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